7 はじめまして哀愁のアンドロイド
 
リスター:8年も宇宙共通語習ってて、なんでまるで上達しないの?
リマー:おまえこそ、生まれてから今まで何冊本を読んだ?
おまえの脳ミソの重さと同じ、ゼロだろ。
 
ホリー:そうだ、お知らせがあったのです。
信号を受信したのです。
ノバ5という船からのコールでした。不時着したようで、今、コンタクトをとっています。
リマー:他の船? バンザイ!
ホリー:地球の船です。物資をわけてもらえると良いのですが。不足している物があるので・・・。
リスター:例えば?
ホリー:牛乳です。だいぶ前に切れました。
リスター:じゃあ、このミルクは何?
ホリー:緊急用の補助ミルクです。 犬のミルクです。
リスター:犬のミルク?
ホリー:別に問題ありません。完全食品です。ビタミン、カルシウムもたっぷり。
リスター:なんで早く言わないの?
ホリー:うまそうに飲んでいたので。
 
・・・コンタクトがとれました・・・

ノバ5のアンドロイド:よかった。 私はクライテン。
サービスアンドロイドです。 大変な事故がございまして、男性は全員衝撃で亡くなり、女性がケガをしていますが、元気です。 どうか救助を。
キャット:女って、あれ? クネクネのボヨヨ〜ン?
クライテン:ジェーンさま、トレイシーさま、アンさまの3人です。
リマー:う〜、すぐ向かうと伝えてくれ。
このアーノルドリマー船長が宇宙冒険家の誇りにかけて、お三方をお助けいたします。
ノバ号まで、どのくらい?
ホリー:約24時間です。
キャット:ウッソー! たった24時間?
すぐ支度しなくちゃ。 24じか〜ん。シャワー浴びてパックしようっと!
リスター:何言ってんだか。
薬を持ってケガ人の手当に行くんで、決してナンパしに行くんじゃないんだよね。
 

・・・女の前では自分をたてろ、と言い出すリマー・・・

リマー:まず、リマーとは呼ばない。
おまえがリマーと言うと、のばし具合で、アホウと言われている気がするんだ。
リスター:じゃあ、なんて呼べばいいのよ? リメェー?
リマー:そうだなあ・・・リマー閣下。
リスター:リマー閣下?
リマー:それじゃあ・・・エース。
リスター:ウソ言ってるよ。 エースがあだ名のわけねえだろ。
リマー:本当にエースと呼ばれていたのだ。
・・・いやあ、何発か殴らせるかわりに、そう呼んでもらってた。
私をけなざず、たてて欲しいのだ。
例えば、話の最中、自然に褒めるとか、私は冒険家らしく勇敢に死んでいったとか、その時、女たちがワンサカ集まってワーワー泣いたとか・・・。
リスター:・・・・・。
リマー:分かった。何も言わなくていいよ。

ホリー:みなさん乗りましたね。では行きましょう。
リスター:どうしたのそれ?
なんでイキナリ、カツラなんてかぶってんの?
ホリー:何の事です?
リスター:その頭の毛。
ホリー:どなたの頭?
リスター:アンタの頭。 売れないコメディアンみたいだよ。
リマー:みんな恥を知れ。 300万年女がいなかったからって、子供のように舞い上がって・・・。
ホリー:そちらの靴下はどうなんです?
ズボンの股ぐらに入れて、上げ底モッコリをつくったでしょう?


・・・ノバ5で待っていたのは、白骨化した乗組員だった・・・

リスター:いやあ、言葉も出ない。 なあ、エース。
ブロンドがウインクしてるよ。
リマー:信じられない!
300万年と2年目に知的生命体と会えると思いきや、待っていたのは骨の標本だ。
リスター:お嬢さんがた、突然こんな事言うのもなんだけど、エースは本当に勇気のある奴なんです。女なんかウジャウジャいて、もててもてて・・・。
リマー:やめるんだ、くされブーツ!
クライテン:どうかなさいました?
リマー:どうもこうもない。全員死んでる。何百年も前から死んでるよ。
クライテン:本当に亡くなってる? あなたは、ドクター?
リマー:見ればわかるだろ? レトルトのカレーより全然肉がない!
 

・・・レッドドワーフに戻り、仕事をこなすクライテン・・・

リスター:一体、どうなっちゃったの?オレの部屋。
クライテン:少々、整理しました。
リスター:あっ! カビだらけのコーヒーカップは?
あのカビ、育ててたんだよ。オレのアルバート!
60cm はいくと思ってたのに。
クライテン:何故?
リスター:リマーが怒るから。 あいつを怒らせるのが生き甲斐なの。
しかしまあ、何でそこまで働くの?
クライテン:ご奉仕が喜びなのです。
リスター:自分の為に何かしたい、って思った事ないの?
何か1つくらい楽しみにしてる事あるだろ?
クライテン:・・・「アンドロイド」。
リスター:あのメロドラマ好きなの? メロドラマねえ、他には?
クライテン:眠る事です。
リスター:「アンドロイド」と眠る事? ものすごーくエキサイティングな人生を送ってるんだねえ、クライテンちゃん!

クライテン:寝てる時、絵が浮かぶんです。
リスター:それは、夢っていうの。
クライテン:ワタクシの大好きな夢は・・・私、庭にいるのです。本でしか庭を見た事はないんですが、いろいろ花の種を蒔いて育てているのです。そこには、ワタクシとワタクシの育てた植物だけ・・・ハハハ、変でしょう?
リスター:そんなことない。 空気のある星で庭をつくればいい。
クライテン:無理です。ワタクシは奉仕ロボット。
リスター:でも主人は死んだ。誰も仕える人いないじゃん。
クライテン:でも、リマーさまが仕事のリストをくれましたので。
リスター:リマーがやれって言ったの?
クライテン:今や、リマーさまはワタクシのご主人。
リスター:あいつは、リマーさまじゃない。 ただのリマー。
アメーバーでも、変態ウジ虫でもいいぞ。
それから、メチャクチャ丁寧に呼びたい時、誕生日パーティーとか、何か特別な時、そういう時はこう呼びな。きっと喜ぶから。
「ゲス野郎!」

・・・リマーに命令され、肖像画を描かされるクライテン・・・

リスター:クライテン、あの映画観ても何にも感じなかったの?
クライテン:リスターさまが見せて下さったのです。
「あばれもの」、「イージー・ライダー」、「理由なき反抗」。
リスター:ちょっとは変わるかと思って。 でもダメだった。マーロン・ブランドの熱演の真っ最中、オレのシャツのシミを取り始めるんだもん。
リマー:これで分かったろう。この世には、2つの身分があるのだ。命令する者とされる者。過去も未来もこの身分制は決してかわらない。 だな?クライテン。
クライテン:そうでございます。
クライテン:ふー、終わりました、リマーさま。
ユーモアが滲み出ていて、ヨロシイでしょう?
リマー:何のマネだ?
クライテン:何と申しましょうか・・・反抗ですか。
反抗精神をその・・・小出しにしてみました。
リマー:何に対してだ?
クライテン:テメェにだ!
オメェはゴミだ! アメーバの変態だ!
ゲス野郎!!
クタバレ、タマなし!
クライテン:バイク借りるぜえ!
リスター:オウ! 行ってきな!

・・・バイクで宇宙に飛び出すクライテン・・・
 

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